五度圏って何?

今日はこの色とりどりのカードを使ったゲームにまつわるお話
…と聞くとちょっと楽し気な感じがしますが、これが分かるとまた音楽がひとつ面白くなる(…のではないかと個人的に思う)お話をしようと思います。
ピアノやギターを習いに来られている生徒さんの中には「もっと早く知っておきたかった!」という方も今まで何人かいらっしゃったので、まだ知らない方には参考になれば幸いです。五度圏を知っているという方は、細かい説明は飛ばして「五度圏カードの使い方」までスクロールして確認していただくと、新たなトレーニング方法の発見につながるかも?です😁

この時計のように並んだ12個のアルファベットは、音程の1オクターブ(ドからド、またはCからC)に含まれる異なった12個の音を表します。

学校の音楽の授業でも「ドレミファソラシド」は歌ったりリコーダーで吹いたりしますが、それは音の名前「音名」と呼ばれます(一般的な日本の音楽教育のケースです。ドレミは「階名」というまた別の役割をする名前に使われる場合もあります)
当教室で教える際も基本的にドレミは音名としてお話するので、「ドレミファソラシ」をアルファベットで書くと「C D E F G A B」となります。
五線譜やTAB譜の上にはCやGやFといったコードが書かれていて、音のアルファベット表記に馴染みがある方もいるのではないかと思います。

西洋音楽をベースとする現代の多くの音楽は「十二平均律」という音律を使っていて、その十二平均律の世界では(つまり私たちが普段耳にする音楽の大半は)、 音と音の距離を表す「音程(インターバル)」の一番小さい単位が「半音(短二度・マイナーセカンド)」と呼ばれます。
そしてその半音を表すための「#(シャープ=半音上がる)」や「♭(フラット=半音下がる)」が音の名前と一緒に登場します。

先程の「C D E F G A B」だけでは7つしか音がありませんが、このシャープやフラットを使うと、

・半音ずつ上がれば「C-C#-D-D#-E-F-F#-G-G#-A-A#-B-C」
・半音ずつ下がれば「C-B-Bb-A-Ab-G-Gb-F-E-Eb-D-Db-C」

と上昇・下降の二通りの形で1オクターブ内にある12個の音を表すことができます。
Cは音の高さが違っても1つの音と数えるので、異なる音は全部で12個です。また、上昇のシャープ音は下降のフラット音とそれぞれ対応します:
C# = Db, D# = Eb, F# = Gb, G# = Ab, A# = Bb

長々と書きましたが、私たちが一般的に聞く音楽のほとんどは、この「たった12個」の音で成り立っていると考えると、音楽って意外とシンプルなんだと思えて…くるかこないかは人それぞれかもしれません😆
この「たった12個」の音の組み合わせにリズムという要素を加えて、素敵なメロディーやハーモニーがいくつも生まれてきているんですね🎶

さて、最初に出てきた12枚のカードの話に戻ります。
この円状に並んだ音は「五度圏 (サークル・オブ・フィフス)」と呼ばれるもので、先程の12個の音が「半音」ではなく「五度」の音程で時計回りに並んでいます。
簡単に音程の数え方を説明すると、例えばCからGであれば「C-D-E-F-G (ドレミファソ)」と起点のCを含めて数えるとGは5番目の音になるので、「五度」となります。
厳密にはCから半音7個分上に上がっていくとGに辿り着くのですが、シャープやフラット関係なくざっくりした音名・音程だけ知りたい時は、このような数え方をします。

Cから五度ずつ並べると

C → G → D → A → E → B → F# (Gb) → Db → Ab → Eb → Bb → F → C

という風に循環します。逆に反時計回りだと四度ずつ進みます。

こういう風に「五度圏」は音の名前と音程を視覚化したものなのですが、それだけではない便利ツールなんです✨

皆さん、カラオケなど行って歌う時に「曲のキーが自分に合ってる・合わない」というフレーズを言ったり聞いたりしたことがあると思います。
そのキーは日本語では「調」ですが、曲のキーを譜面に表す時は「調号」と呼ばれるものを使います。
楽譜を見ると最初にシャープやフラットがいくつか付いていたり、逆に何も付いていなかったりするものがありますね。それがその曲のキー (調) を表しています。
五度圏の図を使えば、その曲がどのキーなのかが一発で分かってしまうんです🤩

シャープもフラットも付かないCメジャー(ハ長調)を12時の位置に置き、時計回りに進むとシャープが一個ずつ増え、反時計回りに進むとフラットが一個ずつ増えていますね。

その楽譜に調号がフラット3つ付いているとすると、キーはEbメジャーとなります。円の内側に示されているAm、Dmなどのマイナーキー(短調)については詳しく解説しませんが、フラット3つだとその曲がCマイナーである場合もあります。

カラオケでキーを変える時や曲を聞く時はここまで考える必要は全くないのですが、例えばある曲を歌いたいとなった時に、原曲のキーが自分に合ってなかったとします。
だいたいは半音や全音上げたり下げたりしてみて合うものを探しますが、上の五度圏の中で隣りのキー(例:EbであればBbかAb)に移動してみるという手もあります(そうすると全体のピッチがかなり変わるため、男性ボーカル↔女性ボーカルのキーの変換の時に使われたりもします)。

「まず原曲キーが何か分からない」という場合は楽譜を見たり、楽器を使って最初か最後のコード (キーの決め手となることが多い) を探ってみたりするといいと思います。
曲のキーは全体の響きを左右するので、普段は何気なく変えたりしますが、実はその曲の雰囲気を決めるとても大切な要素です。

…とまたいろいろ書いてたら止まりませんが、「色とりどりのカードでゲームする話はどこ行った?!」と突っ込まれそうなので最後にその話を。

カードゲームと言っても、某ポケ◯ンや遊◯王のようなエンタメ性には少し欠けるかもしれません😂

五度圏カードの使い方

  1. まず12枚のカードを用意して(画用紙を切ったものでもOK)、それぞれに音の名前を書く(CDE/ドレミどちらかまたは両方)
  2. カードを並べて音の名前と順番を覚える
  3. 覚えたらカードをシャッフルして、自分で一から並べられるか確認する
  4. カードを見ながら音の名前を声に出して時計回りに言っていく(できればメトロノームに合わせて一定のテンポで)
  5. 3を反時計回りでも行う
  6. 慣れてきたらカードを見ずに3と4を行う(こうすると徐々に頭の中に「五度圏時計」がイメージとして定着してくる)
  7. 調号クイズに挑戦(例:Aメジャーの調号は何か?5個フラットの付くキーは何か?)
  8. 今度は3〜5の手順を実際の音を歌いながらやってみる(音感のトレーニングにもなる)
  9. (1〜7が定着したら)各キーの音を基調としたメジャーコード(三和音)の名前をメトロノームに合わせて言うまたは歌う(例:「C E G (ドミソ) → G B D (ソシレ) → D F# A (レファ#ラ)→…)
    ※以下の写真のようにカードの裏にコード名を書いておくと便利
  10. 8のメジャーコードをマイナーコードやセブンスコードに変えて挑戦

注意したいのは、シャープやフラットも正確に覚えるという点と、歌う時も必ず音の名前を言いながらやるという点です。12個それぞれのピッチにラベル付けをする訓練になります。

この五度圏カードを使ったトレーニングを続けると、音楽理論・譜読み・聴音・即興演奏など様々なことにつながって音楽の世界が広がります。
興味がある方は是非ご自宅でカードを作ってチャレンジしてみてください💪

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